ウナブーツによるリンパ浮腫治療【連載1】
圧迫療法
Varicex®の実際の使用方法を解説
*2018.2.8更新しました。
概要
ウナブーツ(ウンナブーツ, Unna boot)による治療について問い合わせが多いので記事にしておきます。
ウナブーツは亜鉛華などを染み込ませた非伸縮包帯で、包帯そのものに浮腫や炎症を抑える効果があります。圧迫力は期待できないので、外側に通常の弾性包帯を巻きます。1日程度で適度に乾燥してくるので、弾性包帯と一体となってブーツの様になり、1回の交換を挟んで、最長2週間程度巻いたままにできます。また、包帯が「まったく」と言っていいほどずれないので、動作圧(動いた時の圧迫力)がかかりやすくなります。
ウナブーツで周径を縮小させてからストッキングを導入する際に便利です。特に、炎症の強いリンパ浮腫の患者さん、ストッキングを着用させるために多層包帯法を始めたいが、多層包帯法を習得するのが難しい患者さん、圧迫療法のために毎日通院できない患者さんに適しています。
【連載2】以降に実際の症例について記事にしたいと思います。
ご指摘により「ウンナブーツ」の表記を「ウナブーツ」に変更しました。(2018.2.8)
使用方法
①まず、Tgチュブラーなどのガーゼ包帯を被せます。その上から、足首、膝関節および包帯の上端にパッディング包帯を2~3重まきます。
②その上からVaricex1~2巻をぴったりと巻きます。1/3幅ずらしで下肢全体で2巻になります。下腿だけならば1巻で足ります。ガーゼ包帯の上下端はVaricexの表層に折り返しておきます。
③最後にロシダルKなどのショートストレッチ包帯を3~4巻きます。8 ㎝ x1巻、10 ㎝ x2巻、12 ㎝ x1巻で足ります。入浴は四肢用のシャワーカバー(アルケア シャワーカバーなど)でカバーすれば可能です。
④歩行や軽い運動を励行して下さい。遅くとも翌々日には上層のショートストレッチ包帯が緩むので、必要に応じで巻きなおします。1度巻きなおすと、その日の夜間に痛みが生じることがあるので、痛みが強い場合は無理をせず、自分で外すように指示しておきます。3日目以降は巻きなおす必要がないことが多いです。1週間そのままでも大丈夫です。1週間目に巻きなおすと、その後、さらに1週間治療を延長できます。
注意点
リンパ漏がある場合は、1-3日程度ですべて交換が必要になることがあります。また、潰瘍がある場合、潰瘍面と、その周囲の脆弱な皮膚面に固着して、潰瘍が拡大することがありますので、ハイドロコロイドドレッシングなど併用してください。