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圧迫

圧迫療法の正しい方法を知ろう!

圧迫療法はリンパ浮腫の治療中で最も大切な治療です。
リンパ液の刺激でリンパ浮腫の症状が進行するので、リンパ液をためないように、圧迫します。
圧迫にはバンデージまたは弾性ストッキング、スリーブを用います。

  • バンデージ(包帯)による圧迫
  • 弾性ストッキング、スリーブによる圧迫

注)初めてバンデージ、弾性ストッキングを使う方は、リンパ浮腫治療の専門家(専門医やリンパ浮腫療法士)に指導を受けてください。

バンデージ(包帯)による圧迫

よく行われるのは多層包帯法といい、2~3層の素材を組み合わせて巻く方法です。一番上層のバンデージ(包帯)には、 「ショートストレッチ包帯」という、引っ張ってもあまり伸びない、硬めの包帯(ロシダルKなど)を使います。
ショートストレッチ包帯は縁(ふち)が硬いので、直接肌に巻いてはいけません。
ショートストレッチ包帯の下巻きとして綿包帯やスポンジ包帯、筒状包帯などを使います。

1層目(肌に触れる面)➡ 筒状包帯(チューブ包帯)

コットン中心の素材で、肌当たりがよいものを選びます。薄いガーゼ状で圧迫力はないもの(tgチュブラーなど)を着けます。

1層目(肌に触れる面)➡ 筒状包帯(チューブ包帯)
2層目(中間層)➡ 綿包帯、スポンジ包帯

1層目が薄い場合(tgチュブラーなどの場合)、クッション材としてポリエステル綿の包帯(セローナ・パッディング包帯など)や、多少の圧迫を期待してポリウレタンフォーム(スポンジ)の包帯(ロシダル・ソフトなど)を巻きます。

2層目(中間層)➡ 綿包帯、スポンジ包帯
3層目(最上層)➡ ショートストレッチ包帯

圧迫をかけるための包帯です。包帯の幅の3分の1ずつずらしながら巻くと3重、2分の1ずらすと2重となりますので、圧をかけたいときは密に巻きます。手でつかんだとき、硬さがある程度均一に感じられる状態が理想です。最終的には、足先や手先が一番強く、手足の付け根にかけて徐々に弱まるようにします。

3層目(最上層)➡ ショートストレッチ包帯

足の場合

▪ゆびの付け根から足首の上までで1本(6cmか8cm幅)
▪足首でさらに重ねて1本(8cm幅)
▪すねで1本(10cm幅)
▪膝の上下で1本(10cm幅)
▪大腿部で1本(12cm幅)
を使用します。詳しい方法は動画で確認してください。

腕の場合

▪手の甲と前腕1/2で1本(6cm幅)
▪手首から肘の上で1本(8cm幅)
▪前腕1/2から上腕まで1本(8cm幅)
を使用します。詳しい方法は動画で確認してください。
足の場合多層包帯を巻いた状態で外出するのが大変な場合は、ストッキングやスリーブの上にショートストレッチ包帯を巻く方法もあります。最も強い圧迫が可能ですが、皮膚トラブルを避けるため必ず医師・リンパ浮腫療法士の指導を受けてください。 また、多層包帯法は3層が基本ですが、巻くのが大変な場合は、1層目と2層目を兼ねて、まずタオル地タイプのもの(tgソフトなど)や夜用の筒状包帯(エアボウェーブなど)を着用します。クッション性がありますので、その上にショートストレッチ包帯を巻いても構いません。

ゆび包帯の巻き方

ゆびも圧迫しなければ、ゆびだけがむくんでしまうため、多層包帯法の一番初めに巻きます。4~8cm幅の包帯を縦に二つ折りにして使います。足の場合、足の甲のゆび寄りの部分から巻きはじめ、第1趾(おやゆび)、第2趾、第3趾、第4趾まで順番に2~3回ずつ巻いてください。手の場合、手首から巻きはじめて、拇指、示指、中指、環指、小指の順に巻きます。

弾性ストッキング、スリーブによる圧迫

もっとも取り入れやすいのがストッキング、スリーブです。様々な製品がありますので、 最初は自分に合っているサイズと強さのものを専門の施設で選んでもらう必要があります。
下肢については、最近では薬局で購入できる圧迫ストッキングもありますが、リンパ浮腫用としては圧が弱すぎたり、 膝下しかなかったり、サイズが限られていたりするため、できるだけリンパ浮腫用のものを着用するようにしましょう。

自分に合う弾性ストッキング・スリーブを見つけよう!

かたち
弾性ストッキング

【ハイソックス】

通常リンパ浮腫にはあまり用いません。太ももからリンパ浮腫になることが多いため、太ももが圧迫できないハイソックスでは治療効果が不十分だからです。
ハイソックスは高齢者や、原発性リンパ浮腫および外傷性リンパ浮腫で膝下(下腿)だけむくんでいる人が使います。

【ストッキング】

大腿の上部までの長さがあり、リンパ浮腫用としてもっとも一般的なものです。トップバンド(滑り止め)つきのものと、そうでないものがあります。
ずれ落ちないように、腰ベルトがついている製品もあります。

弾性ストッキング

【パンティーストッキング】

これも一般的なものです。ストッキングのトップバンドの刺激が苦手な人や、両下肢のリンパ浮腫の人には合理的です。
パッドなどを組みわせれば下腹部まで圧迫可能です。

弾性ストッキング
弾性スリーブ

【ミトンなしスリーブ】

もっとも一般的なスリーブです。手の甲への圧迫がないため、着用するとかえって手の甲、指がむくんでしまう場合があります。
トップバンド(滑り止め)がついているもののほか、ずり落ちないように肩紐がついている製品もあります。

弾性スリーブ

【ミトン付きスリーブ】

手の甲もむくんでいる方が使います。スリーブとミトンの間に継ぎ目がないので、食い込みが少ないことが利点です。
手首の部分に、あえて余裕をもたせている製品もあります。

【グローブ】

手の甲だけでなく指もむくんでいる場合に着用します。指の太さまで採寸して自分に合ったものを選びましょう。

強さ
クラス1

約20mmHg相当。リンパ浮腫用としては弱めです。
症状のほとんど無い早期のリンパ浮腫の人や、予防的に着用したい人、強いものを着用できない高齢者などが使用します。

クラス2

約30mmHg相当。早期のリンパ浮腫で、症状が安定している人が使用できます。
早期であっても発症直後で、今後悪化する可能性がある人にはお勧めしません。

クラス3

約40mmHg相当。多くのリンパ浮腫の人が使用できます。はじめはとても強く感じますが、慣れると楽に着用できるようになります。
クラス3を着用していても悪化する人、超音波検査などで浮腫が見える人は、これ以上の圧力、すなわちバンデージやストッキングの2枚重ねなどが必要になります。

生地
丸編み

伸縮性が良く、フィットしやすい反面、平編みに比べて圧迫力に劣ります。薄いものもあるので、夏には便利です。
しかし、薄いため、しわになったところが皮膚に食い込みやすくなります。

平編み

伸縮性が少ないため、着用にはコツが必要です。しかし、圧迫力に優れるため一度着用するとかえって快適に感じることもあるようです。
サイズの融通が利きづらいので、オーダーした方が良い場合があります。耐久性が高く、多くの場合丸編みよりも高価です。

  • 生地
  • 生地
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はき方・つけ方

弾性ストッキングのはき方

足首の部分が非常に強くできているので、普通の靴下のように手繰ってはこうとすると、強くなってしまい(束ねると強くなる輪ゴムと同じで)、はけません。
スライダーという滑りやすい布製の補助具を使うか、踵(かかと)より上をいったん裏返してからはきます。また、ゴム手袋をつけるとしわを伸ばすのが楽です。
弾性ストッキングのはき方

高齢者や指の力が弱い方で、強い弾性ストッキングをはくのが大変な場合、弱いストッキングを2枚重ねてはくと、強いのを1枚はいた場合と同じかそれ以上の圧が得られます。夏は暑く、費用がかかってしまうのが難点ですが、ときに有用な方法です。長年1枚だけはいていて浮腫が良くならなかった人が、2枚はいた途端に劇的に良くなることもあります。ただし、強くなりすぎる場合があるので、必ず医師やリンパ浮腫療法士の指導を受けてください。

弾性スリーブのつけ方

手首から前腕部分が強くできています。3分の2程度を折り返して、前腕を先に入れ、裏返した部分を元に戻して上腕まで着用します。
ゴム手袋をつけるとしわを伸ばすのが楽です。

その他の治療法

  • スキンケア

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  • 手術治療

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  • 運動

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  • リンパドレナージュ

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  •  新しい治療

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